空を舞う小さなハンター、チョウゲンボウを動物園・動画で目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。この記事では、チョウゲンボウの知られざる生態に迫り、狩りの秘密から繁殖まで徹底解説します。

この記事は以下のような人におすすめじゃ!
・チョウゲンボウを詳しく知りたい
・チョウゲンボウが気になる
基本情報

チョウゲンボウの由来
チョウゲンボウの由来は諸説ありますが、wikipediaでは「日本の国語学者曰く、トンボの方言の一つ”ゲンザンボー”が由来ではないかと提唱している。チョウゲンボウが滑空している姿は、下から見るとトンボが飛んでいる姿を彷彿とさせることがあると言われ、それゆえ、「鳥ゲンザンボー」と呼ばれるようになり、いつしかそれが「チョウゲンボウ」という呼称になったと考えられている。
体の大きさと全体的な印象
チョウゲンボウは全長30〜35cmほどで、翼を広げると約70〜80cmにもなります。体重はオスが150〜190g、メスが200〜250gと、猛禽類の中では比較的小柄です。頭が小さく、スリムな体つきをしており、飛行時には比較的細長い翼と長めの尾羽が特徴的です。
オスの特徴
オスのチョウゲンボウは、頭部が青灰色で、背中は赤褐色を基調とし黒い斑点が散らばっています。尾羽の色は灰青色で、先端に黒い帯状の模様があるのが特徴です。腹部は淡いクリーム色や黄褐色で、細かな縦斑が入っています。足は黄色く、鋭い鉤爪を持っています。
メスの特徴
メスのチョウゲンボウは、全体的に褐色が強く、背中や翼には黒い斑点が密に分布しています。オスに比べて頭部も褐色で、尾羽には複数の黒い横帯が見られます。腹部もオスと同様に淡いクリーム色ですが、より明瞭な縦斑が入る傾向があります。メスの方が全体的に模様が濃く、保護色としての役割が強く表れています。
幼鳥の特徴
幼鳥はメスに似た外見を持ち、全体的に褐色がかっています。羽の模様はメスほどはっきりしていないものの、成鳥と同じく黒い斑点や縦縞模様が見られます。成長とともに徐々にオスとメスの特徴が顕著になっていきます。
飛行時の見た目
チョウゲンボウは飛行時に細長い翼と長めの尾羽を広げるため、他の猛禽類と比べてスリムな印象を与えます。ホバリング(空中で静止するような飛び方)を頻繁に行うことも大きな特徴のひとつで、風を巧みに利用しながら空中で止まって獲物を探します。このホバリングの姿は、ほかの猛禽類と簡単に見分けるポイントになります。

チョウゲンボウはオスとメスで異なる色合いや模様を持ち、それぞれの特徴を知ることで見分けることができます。また、ホバリングを得意とする飛行スタイルや、細長い翼と長い尾羽も識別の手がかりとなります。
生態

生息環境
チョウゲンボウは開けた環境を好み、農地、草原、湿地、河川敷、さらには都市部の高層ビルや橋梁などにも生息します。こうした環境で高所に巣を作る傾向があり、特に都市部では建造物の隙間や人工的な構造物を利用することが知られています。天敵が少なく、餌となる小動物が豊富な場所を選びながら生息しています。
食性と狩猟方法
チョウゲンボウの主な獲物は、小型哺乳類(ネズミなど)、小鳥、爬虫類、昆虫類などです。特にネズミを多く捕食することから、農業環境においては害獣の抑制にも貢献しています。
紫外線視覚と獲物の発見
チョウゲンボウは紫外線を視認できるため、ネズミや小鳥などの獲物の痕跡をたどるのに役立ちます。例えば、ネズミの尿には紫外線を反射する成分が含まれており、チョウゲンボウは空中からその痕跡を見つけることができます。この能力によって、茂みや草むらに隠れた獲物を視認し、効率的に狩ることができるのです。
ホバリングと遠距離視力
チョウゲンボウは狩猟の際にホバリングを多用します。このとき、高度10〜20メートルの空中でほぼ静止しながら、地上の獲物を探します。チョウゲンボウはおよそ2.6の視力を持つとされ、これは人間の視力1.0の2.6倍に相当します。
▼チョウゲンボウの狩猟能力
天敵と生存戦略
チョウゲンボウの天敵には、大型の猛禽類(オオタカやフクロウなど)や哺乳類(キツネやイタチなど)が含まれます。これらの捕食者から身を守るため、チョウゲンボウは高所に巣を作り、警戒心を持って行動します。また、飛行能力の高さを活かし、迅速に回避行動をとることも生存戦略の一つです。
人間との関係
近年、都市部への適応が進んでおり、ビルの屋上や橋の下などで営巣する姿が確認されています。また、農地でのネズミの捕食による害獣抑制の観点から、農家にとって有益な鳥と見なされています。
しかし、都市開発や農地の変化によって生息地が減少しつつあるのも事実です。そのため、一部の地域では保護活動が行われており、人工巣箱の設置や狩猟禁止区域の設定が進められています。

環境の変化が及ぼす影響は避けられませんが、人間との共存の道を探りながら、この美しい鳥を未来に残すための取り組みが求められています。
繁殖と子育て

繁殖期と営巣
チョウゲンボウの繁殖期は3月から7月頃にかけて行われます。この時期になるとオスはメスに求愛行動を示し、餌を運ぶことでペアの絆を強めます。求愛給餌と呼ばれるこの行動は、メスに十分な栄養を与え、繁殖の成功率を高める重要な役割を果たします。
巣作りに関して、チョウゲンボウは自ら巣を作ることはなく、カラスの古巣や岩のくぼみ、さらには人工的な建造物の隙間などを利用します。近年では都市部の高層ビルや橋の下などで営巣する例も増えています。
繁殖と生活サイクル
繁殖期は春から初夏にかけてで、3月から7月ごろに営巣します。チョウゲンボウは自ら巣を作ることは少なく、カラスの古巣や岩のくぼみ、人工建造物の隙間などを利用することが一般的です。巣の選定はオスが主に行い、メスがそれを受け入れる形で営巣が開始されます。
メスは通常3〜6個の卵を産み、抱卵は主にメスが担当します。一方でオスはこの間、餌を運ぶ役割を担い、家族を支えます。約28〜30日で卵が孵化し、孵化後の雛は親鳥からの給餌を受けながら成長します。生後約4〜5週間で飛翔できるようになり、その後も数週間は親鳥に餌をもらいながら独立の準備をします。
産卵と孵化
メスは一度の繁殖で3〜6個の卵を産みます。卵はクリーム色や淡い褐色の地に暗い斑点が入った模様を持ち、保護色としての役割を果たしています。抱卵は主にメスが行い、その間オスは巣の周辺で警戒しながら餌を運び続けます。孵化までの期間は約28〜30日で、その間メスはほとんど巣を離れません。
雛の成長と育児
孵化したばかりの雛は、親鳥からの給餌を受けて急速に成長します。初めのうちは柔らかい食べ物を与えられますが、成長するにつれ、小動物や昆虫などの狩りの練習を始めるようになります。親鳥は1日に何度も餌を運び、雛たちは活発に食事を求めるようになります。
生後2週間ほど経つと、雛の体にはしっかりとした羽毛が生え始め、飛翔の準備が進みます。4〜5週間で雛は飛行できるようになり、巣の外で短い距離を飛ぶ練習を始めます。この時期になると、親鳥は雛に狩りの仕方を教えるようになり、少しずつ自立への準備を進めます。
▼獲物を持ってくるオス鳥、メス鳥はそれを料理します
雛鳥の食事や排泄時の様子を見ることができる動画
巣立ちと独立
生後5〜6週間ほどで雛は完全に巣立ちますが、最初のうちは親鳥に頼ることが多く、狩りの成功率も低いため、しばらくの間は親が餌を与え続けます。1〜2か月もすると雛は自分で狩りができるようになり、親元を離れて独立します。
人間との関係と保護
近年、都市部への適応が進んだチョウゲンボウは、高層ビルや橋の隙間を利用することで繁殖を行うことが増えています。しかし、開発や環境の変化によって営巣場所が減少しつつあるのも事実です。そのため、一部の地域では人工巣箱の設置などの保護活動が行われています。
▼繁殖~巣立ちまで、野生動物アーティストが映像を撮影しています

繁殖のサイクルを知ることで、チョウゲンボウの生態に対する理解が深まり、保護の重要性も認識されるでしょう。
鳴き声の意味

一般的な鳴き声の特徴
チョウゲンボウの鳴き声は、高く鋭い「キーキーキー」や「キィキィキィ」という音で表現されることが多いです。この鳴き声は他の猛禽類と比べてやや甲高く、遠くまで響くのが特徴です。特に繁殖期には頻繁に鳴くため、観察しやすいポイントのひとつとなります。
繁殖期の鳴き声
繁殖期には、オスとメスの間で活発な鳴き声のやり取りが行われます。オスは求愛行動の一環としてメスに向かって高い声で鳴くことがあり、これは「求愛鳴き」と呼ばれます。また、オスがメスに餌を運ぶ際にも鳴き声を発し、これによってメスに餌を持ってきたことを伝えます。
メスもまた、産卵や抱卵の最中にオスに対して鳴き声を発することがあります。これは餌の要求を意味することが多く、特に雛が孵化した後は、メスが頻繁に鳴くことでオスに餌を持ってくるよう促します。
警戒の鳴き声
チョウゲンボウは、縄張り意識が強く、外敵に対して警戒心を持っています。外敵が巣に近づいたり、他の猛禽類が侵入したりすると、「ケケケケ」というような短く素早い鳴き声を発し、威嚇することがあります。特に繁殖期にはこの警戒鳴きが頻繁に聞かれ、親鳥が巣を守るために必死に鳴き続けることもあります。
雛の鳴き声
孵化したばかりの雛は、かすかな鳴き声を発しながら親鳥に餌をねだります。成長するにつれて鳴き声は大きくなり、「ピーピーピー」といった連続した鳴き声を上げるようになります。これは親鳥に餌を要求する意味があり、特に巣立ち前の時期には頻繁に聞かれるようになります。
仲間とのコミュニケーション
チョウゲンボウは基本的に単独で生活することが多いですが、繁殖期以外にもパートナーや縄張り内の他個体とコミュニケーションを取るために鳴くことがあります。特に若鳥同士がじゃれ合う際や、親鳥と雛が飛行訓練を行う際には、お互いを呼び合うような鳴き声を交わすことが観察されます。

チョウゲンボウの鳴き声には、求愛や餌の要求、警戒、仲間とのコミュニケーションなど、さまざまな意味があります。その鳴き声を理解することで、彼らの行動や生態をより深く知ることができるでしょう。
おまけ(面白い映像)
▼仲間のチョウゲンボウが帰ってきた時のシーン
雛の驚いた表情にご注目ください

